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日本のコピーベスト500

近藤智平

近藤智平 氏  2017/06/01

 

 ここ最近は哲学の本に傾倒し、頭が疲れた時は簡単に読める村上春樹や純文学などを読むようにしていた。
頭に負担の掛かる本と掛からない簡単な本。敢えてそういった物を選んでいる中で、突如出会った本がこれである。

 500ものコピーがランキングされたこの本、誰もがテレビや雑誌で見たことのあるコピー。青春の頃だったか、成人した頃だったか、はたまた数年前だっただろうか、ふとした時に触れ、何故か忘れられないフレーズというのがあると思う。僕は、この本に出合って、「糸井重里さんってコピーライターだったんだ」という事にも衝撃を受けたが、それ以上に懐かしくも心に響く言葉たちとの出会いに感動した。

 最初、1位のコピーから順に10位までが並び、それぞれ採点をしたコピーライターの方々のコメントが付いている。そして、11位から100位までは一人のライターがコメントをし、101位から500位までにはコメントが無い。前半にある作品へのコメントも、読む必要があるかと言われると特に読まなくても良いように思う。しかし、中盤以降のコメントが無い作品は一体何を指して言っているのかぼやけてしまう。だからこそ逆に伝えたいことを想像させられまた楽しい。というよりも、想像力が掻き立てられる分、101位以降の作品の方が印象に残っている感がある。

 プロが作ったもの、ということで少しあざとい感じもするが、『挫折を経て、猫は丸くなった。』のような素人の奇を衒った寒い感じはあまりしない。良いな、面白いな、と思った言葉にマークをして読んだが、個人的には結構な数の言葉に印が付いた。ゲーテやシェイクスピアの言葉を集めたものも良いけれど、僕たちの生活により近い時代の物や事を表すコピーは、なんというか肌触りが良いような感触を覚えた。

 座右の銘、のようなものではないし、詩でもない。良くも悪くも、よくこれでコピーとして採用されたなっていうものもある。しかし、それが響く。そして残る。500のコピーから何かを得るかというとそれはわからない。けれど、その発想力と表現力には人を魅了する力があるように思う。

 難しく考えて至言に辿り着くこともあるかもしれないけれど、ものすごくシンプルな答えがあったりする。とはいえ、わかり易さも大事だし、誰でも思いつくことでもだめだし、という、そういう矛盾した葛藤に揉まれた人たちから捻り出された、思いもよらない角度からはっとさせられる言葉たち。冒頭に書いた頭を負担の掛かる本なのか、負担の掛からない簡単な本なのか、どちらかと聞かれると微妙であるが、それこそ人それぞれの感じ方で楽しめると1冊だと思う。




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