トップ » 物流社長の本棚 » ジャンル  » 生き方・哲学  » 物流社長の本棚 / 哲学の歩みとか、哲学って何だろうって興味がある方には是非お勧めです

▼新着書籍


 

史上最強の哲学入門
史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち

近藤智平 氏  2016/11/25

 

 何故買ったのか動機は思い出せないんですが、非常に満足度の高い書籍です。私の書いた書評のラインナップを見ても思ったのですが、哲学とか心理とか世界の成り立ちとか、そういう本が大好きなようです。今回もそんな感じの本です。先に記載しておきますが、今回は1冊の本ではなく、関連書籍2冊をまとめてご紹介したいと思います。

1.史上最強の哲学入門
 こちらは4つのラウンドに分かれ、西洋の哲学を次々に戦わせるという構成。刃牙的な展開を表しているんだと思いますが、流れもしっかりしていて読み易く私は好きです。登場する哲人も必ずしも時系列というわけではありませんが、各ラウンドに準じて出てくるという作りです。

第一ラウンド:真理の『真理』

 まずは真理の哲学から。絶対的な究極的な真理を求め、プロタゴラスから始まり、無知の知、ソクラテスへ続きます。時代は中世へ移りデカルト、ヒューム、カント...と名だたる哲人12名が紹介され、真理(ホントウ)を求めて各々が人生を賭けたその生き様が垣間見れます。
 そういえば、結局のところ私は真理が何かはわからないのですが、今回の書評全体に渡って「全然わからなかった」という内容ですので、前もってご承知おきの程お願いいたします。
本自体はすごくわかり易く書かれているのですが...わかり易いのにわからないという複雑な心境になります。

第二ラウンド:国家の『真理』

 こちらはソクラテスの弟子プラトン、そしてその弟子アリストテレスから始まります。この二人が国家ラウンドで出てくるのには驚きましたが、そうなんですね。この古代ギリシャの時代はポリスという都市国家で形成されていて、毎年そのトップは選挙で決められていたと言います。そして、政治の在り方は大まかに①君主政治 ②貴族政治 ③民主政治と循環していくのですが、①は暴君政治 ②は寡頭政治 ③は衆愚政治(デモクラシィ)と変化していくことをこの時期に明言していたと聞いたことがあります。そしてまた、時代は中世へとタイムスリップし、ホッブズ、ルソーへと渡り、経済学の祖アダム・スミス、マルクスへと展開していきます。国家とは何なのか、政治とは何なのか、生きるとは何なのか、様々な観点から考えることが出来るラウンドです。

第三ラウンド:神様の『真理』

 ローマは三度世界を征服したと言われていますが、うち二度は宗教ですよね。
 このラウンド、最初はやはり古代ギリシャのエピクロスという哲人から始まりますが、次いで現れるはイエス・キリスト。そして続くは聖人アウグスティヌスとトマス・アクィナス。これまでのラウンドの哲人が古代ギリシャから途中を飛ばして中世へ飛ぶのはやはりこの宗教が世界を制していたから...?とか考えてしまいます。中でもこのアウグスティヌスにより教義が作られたこと、トマス・アクィナスにより哲学と神学(プラトンのいうイデア)とを区別し切り分けたことによる影響は大きいのではないでしょうか。こういった節目も見えて面白いです。そして最後はニーチェで締められます。

第四ラウンド:存在の『真理』

 ここに至るまでは割と身近であったり、学校で学んだことが出てきたりするものですが、ここから先はあまり馴染みのない方が出てきます。ニュートンとかは知っていますが、古代ギリシャのヘラクレイトス、パルメニデス、デモクリトス(全部知らない)からニュートン、バークリーへと。子供のころによく考えていましたが、「なんで僕はいるんだろう」という疑問を突き詰めていくラウンドです。自転車があるとして、「自転車だ」と思うでしょうが、そのサドルを外して「サドルだ(自転車ではない)」となります。ではどこが自転車なのでしょう~などなど。

 だいぶ端折っておりますが、総勢31名もの哲人がそれぞれ各々の持論を展開し、それがどういった影響を与えて行ったか、それにより社会がどう変化していったかがよく見えます。何度か読んでも面白いと思いますよ。

 そして前述の通り、今回はこれだけではなく、関連の書籍にも移ります。長くてすいません...
 ここまでが西洋であったことに対して、ここからは東洋哲学になります。両書籍に記載がありますが、西洋の哲学というのは「いつ誰々が言った理論」に対して階段を一段一段上るように洗練させ、究極の真理へ近づいく過程なのです。東洋のそれはいつ誰が何を言ったかは興味が無く、結局何万年と時が流れても、人間は同じことを繰り返すであろう本質について哲学するもの。そして、西洋のように少しずつ正しさを磨いていくのではなく、ある日突然「悟った」という者が出てくるのが東洋の面白いところです。

2.最強の哲学入門 東洋の哲人たち
 東洋の哲学は「学べばわかる」というものではないそうです。ある日突然「はっ!悟った!」となって、その悟り方を色々模索して伝承してきているものなんだとか。前述の例えによる西洋と東洋の違いというのは、西洋の哲学=階段のようなもので少しずつ積み上げて真理に近づく体系ですが、東洋の哲学=ピラミッドのようなものになり、その頂点に君臨している釈迦、孔子、老子、親鸞、道元の教えを実践し、真理を得るという感じです。
 西洋哲学は学問として触れている人も多くいるかもしれませんが、東洋の方はもっとより近いところで触れているような気がします。なんというか、生活の節々で...。日本は神道や仏教の影響が強いからでしょうか。こちらの東洋編はそんな私たちの生活のどこかにありそうな心理について脈々と継承されてきた教えに触れることができます。

第一章 インド哲学 悟りの真理

 ヤージュニャヴァルキヤという人から始まるこの章がいきなり深い。紀元前800年ころにはウパニシャッド哲学が生まれ、紀元前650年頃からすでにインド哲学は大分進んでいたようで、当時すでにアートマン(我、自己、私)とブラフマン(梵、世界の根底原理)の概念があったようです。このあたりは深すぎるのでちょっと説明ができないのですが、兎に角「私とはなんだ」ということをとことん考える。そして釈迦へと話が移る。仏教の開祖であり、古代インドに根付いていたウパニシャッド哲学を破壊し、インド哲学を正しい道へと導いた。そして龍樹の「空」の哲学を仏教最強の経典、般若心経を用いて説明し、次の章へと移ります。この辺りの仏教の話は、以前書評でも触れているので割愛します。この龍樹のセクションでは般若心経の解説があり、これが私にとっては非常に興味深いところでした。
 そして東へ移ります。

第二章 中国哲学 タオの真理

 中国の英雄、堯(ぎょう)・舜(しゅん)・禹(う)の時代からの流れで「夏」王朝が成立する。そして、殷により政権を奪取されたが、殷も30代紂王の頃、周によって滅ぼされた。これが紀元前約1,000年、殷周革命とか殷周易姓革命とか呼ばれるものですね。六韜で有名な太公望の時代です。この周の時代まで、「建国⇒世襲⇒とんでもないやつが王になる⇒滅亡」を繰り返しており、周も同じようにして滅亡した。しかしながら、周は封建制度と身分制度を適用し、堅牢な国家体制を作り上げていた。そして王=天子となることで「周王以外のやつから奪う」という図式が出来上がり、貴族たちによる群雄割拠の時代が訪れるのである。そして「春秋戦国時代」の幕開けとなった。
 背景が少し長くなりましたが、この春秋戦国時代から諸子百家と呼ばれる儒教家や道家が現れるようになったのです。
 第二章のトップバッターは儒教の教祖、孔子から。誠に礼を重んじる孔子は就職難だったと言います。生まれた魯の国も礼を重んじる国家だったと記憶していますが、やや時代に合っていなかったんではないかと思います。しかし、中国史上最も支持された孔子の教えというのはどの哲学に対してもベースになり得る内容だったようにも思います。それ故、中国の哲学を知るにあたり、孔子は絶対に外すことのできない重要人物となるのでしょう。
 他に老荘思想となった老子・荘子の道、諸葛亮孔明が劉禅に教えたという韓非子など、こちらも名だたる思想家や哲学者が登場します。
 そしてまた、東へ移ります。

第三章 日本哲学 禅の真理

 日本では飛鳥時代に聖徳太子が仏教を推進したそうです。そして、奈良時代に各地にお寺が建てられ、平安時代になると、最澄と空海が現れた。日本での仏教の歴史というのはしっかり覚えて来なかったのですが、想像していた以上に古いことに驚きました。インドや中国と違う文化を持った日本の中でこそ、禅の発達というのがあったのでしょうね。出自としては -「ヤージュニャヴァルキヤ、釈迦、龍樹、老子、荘子」といったそうそうたる東洋哲学者のエッセンスがすべてブレンドされた- と記載があって、禅の語源は「瞑想」になるそうです。
 こちらの章では日本で馴染みの深い念仏であったり喝であったり、何故それが生まれ、どういう意味があるのか知ることができます。法然や親鸞、栄西、道元など今の禅宗の思想というか求めるところと言いますか。宗派により様々な考え方というのがあるかとは思いますが、いずれにせよ日本の禅がいかにして考えられてきたか触れてみると、それはそれとて感慨深いものがあったりします。

 一度で2冊の本を紹介いたしましたが、一気に読んでちょっと賢くなったような感覚と、世界の不思議に触れたような高揚感を味わえます。書評というより、内容の概略をなぞったような形になりましたが、文頭に書いたように、本当に満足度の高いものであったと感じています。その時代の文化や哲学に詳しい方は特に必要としないかもしれませんが、哲学の歩みとか、哲学って何だろうって興味がある方には是非お勧めです。
 同筆者による別な哲学の本もあり、かなり面白いので、またの機会にご紹介出来ればと思います。



アイコン このテーマの無料テキストダウンロード

Share