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「辞めるならウチへ」 元請けから下請けへ転職 / 『物流ウィークリー』ニュース (2017年10月05日)

運送事業者にとって現在、最も頭をお悩ませているのが人材の確保だろう。仕事全体を見た場合、同じセンターで働く元請けのドライバーも下請けのドライバーも等しく大切な人材だ。今回、元請けのドライバーが「辞める」と言い出したことについて、手を差し伸べたのが下請け事業者。元請けからは「雇うな」との圧力があったが、このドライバーがいなくなれば配送センターが回らなくなるのは目に見えている。元請け事業者と交渉を進めた下請け事業者は、発注元に迷惑をかける元請け事業者の態度に下請け事業者として憤慨している。


 「我々のように、食料品をお預かりする仕事をメーンとしている会社では、ほぼ毎日仕事がある。人一倍働き者の従業員がいるからこそ存続できている。だからこそ、一人でも多くのドライバーを確保していく必要がある」と話すのは、三重県の運送事業者A社。同社社長はこのほど、同じ配送センターで働く元請け事業者のドライバーが人間関係を理由に転職する話を聞き、引き止めに動いた。


 「元請け事業者からは人員の流出が続いており、センターでもその影響が出ていた」という。「上のやり方についていけなくなったと本人は話していたが、同時に仕事は嫌いじゃないとも話していた。退職後、ウチで仕事をしてもらうことはできないか、と考えた。ドライバー本人にも、『他に行きたい所が見つかるまででもいい』と伝えている」という。ドライバーも説得に応じて、一時的にA社へ勤めることにしたという。

 問題は同社長の説得により収束するかに見えたが、元請け事業者から同ドライバーを使わないよう連絡があったという。ドライバー本人へも、退職前に協力会社へ就職しないよう話していたそうで、A社へ就職したことを知った元請け事業者から、同じ現場に出た当人へ圧力をかけるような出来事もあったという。


 結局、社長が元請け側と交渉することで事態は収束し、ドライバーもA社を辞めさせられることはなかった。社長は「仕事に穴を空け、発注元に迷惑をかける事態は避けたかった」という。しかし、「従業員からも見限られているという事実を見ずに、主導権が自分にあるような態度を取る元請け事業者が信じられない」と話している。


 公正取引委員会へ、特定の人事を理由に「仕事を受けさせない」といった要求を出すことに違法性がないか質問すると、「元請け事業者が、どの下請け事業者を使うかは基本的には自由」という。また、「取引の依存度が高い、下請け事業者が他の仕事先を探すことが困難などといった優越的地位が認められる状況で、不当な労務や利益を提供、一方的な取引条件の設定などといった優越的地位の濫用があったと認められる状況では問題となる」としている。加えて、「同様の行為を、他社へも及ぶというような広がりを見せるような行為であれば、問題視する可能性も高くなる」と補足していた。


 建交労愛知(和渕信春執行委員長)の谷藤賢治書記長は、元請けがドライバーの退職後の就職に言及したことについて、「就業規則に競合他社への再就職を一定期間止めるよう記載している企業は少なくない。運送業界においても、引っ越し、産業廃棄物運搬などを取り扱っている事業者では、よく見られる」と話す。こうした規則に関して谷藤書記長は「秘密保持の意味合いが強い。元営業や役員から情報が流出することを想定したケースのほか、ノウハウの流出を恐れてのケースもある」と事例をあげる。


 しかし、強制力に関しては「こうした規則自体に絶対的な法的拘束力があるとは断定できない。効果は、あくまで心理的な部分への影響にとどまる」としている。


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