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ヒヤリハットで思わぬ展開に 家族から説得され退職を決断 / 『物流ウィークリー』ニュース (2016年10月27日)

  車を運転していると、誰もが一度や二度は、ヒヤリハットの経験はあるだろう。ましてや毎日トラックを運転するドライバーに至っては、その確率は自然に高まる。ヒヤリハットは、事故の一歩手前であり、一つ間違えば事故につながるだけに、それをなくす努力も欠かせない。とはいえ、事業者としてみればヒヤリハットはあくまでヒヤリハットで、事故ではないだけに、本来は注意喚起で収めるところだ。しかし、千葉県の事業者でこのほど、このヒヤリハットが、思わぬ事態をもたらした。


 同事業者で4トンを運転していた30代のドライバーが5月、国道を走行中に危うく乗用車と正面衝突を起こしそうになるというヒヤリハットを経験した。カーブで乗用車がわき見をし、センターラインをはみ出してきたことが原因だったが、幸いにもぎりぎりのところで回避でき、事故は免れた。


 ドライバーと管理者の間で話題にはなったものの、あくまでヒヤリハットで事故ではないため、社内でもそれほど問題にはならなかった。しかし後日、そのドライバーが突然、退職願を出してきたという。


 同社社長によると、「そのドライバーは勤務態度も真面目で車の運転も好きだという、ヒヤリハットの経験くらいで辞めるような人間ではなかった」。それだけに、「最初はどうしたのかと驚いた」という同社長だったが、その理由を聞いて考えさせられた。


 ドライバーが仕事を終えて家に帰った際に、家族にヒヤリハットのことを話したという。本人としては「こんなことがあった」くらいの報告に過ぎなかったようだが、それを聞いた家族が仕事を変えるようにと懇願してきたのだという。「命を落とすかもしれない、そんな危険な仕事をしないでほしい」という家族の強い言葉に押されてドライバーは転職を考え、同社に退職願を出してきたのだ。最初は妻が転職を勧めたようだが、最後には両親も出てきてドライバー職をやめるように説得されたという。同社長は説得して慰留に努めたが、その甲斐もなく、結局そのドライバーは退職していった。


 「昔だったら『俺の稼ぎに口を出すな』くらいに振る舞い、誇りを持って仕事をしていたものだけどなあ」と話す同社長は、「これが今の時代なのかもしれない」と、さすがに落胆の色を隠せない様子。「ドライバーという仕事を否定されたことがつらい」とこぼし、「これからは、トラックドライバーは経済活動の根幹を支える誇りある仕事で、日本一安全を徹底しているということを証明し、広くPRしていかなければいけない時代なのかもしれない」と話している。



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